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夢中のはじまりをもっと楽に。『はじめのいっぽの軽量化』にチャレンジしてみた!【夢中観測レポート2021】

世の中にもっと夢中を増やすために生まれた「くらしの夢中観測所」。

その観測員たちが、一年の活動の集大成としてまとめたのが、「夢中観測レポート2021」です。

これまでに紹介してきた導入編・インタビュー編に続き、最後を締めくくる今回は実践編。
毎日に夢中時間を増やす9つの『くらしの夢中ヒント』のうち、『はじめのいっぽの軽量化』にライターの谷村がチャレンジしていきます。

■夢中のはじまりをもっと楽に『はじめのいっぽの軽量化』

https://www.kracie.co.jp/muchu/assets/img/kansoku/muchukansokureport2021_web.pdf#page=16

著者:安田 恵美 観測員
   クラシエホームプロダクツ ビューティケア研究所


「推理小説の名作古典を読んでみたい」


『そして五人がいなくなる』

これは、私が推理小説を読み始めるきっかけとなった児童書のタイトルです。
タイトルから感じる不穏さと、ミステリーという未知なる世界に踏み込む高揚感。それらが重なりあったあの時の気持ちは、今でも忘れられません。そしてこのタイトルは、ある作品の影響を受けて名付けられています。アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』です。
この作品の影響力は大きく、『そして五人がいなくなる』以外にも似たタイトルの作品がさまざまあります。

そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノ-ト
 はやみね かおる/著 (講談社青い鳥文庫)
そして誰もいなくなった アガサ・クリスティー/著 青木 久惠/訳
(ハヤカワ文庫 クリスティー文庫)

しかし、実の所、私は『そして誰もいなくなった』を読んだことがありません。思い出の作品の“元ネタ”を読んでみたいという強い気持ちがあるにも関わらず、何故か一歩を踏み出せずにいました。

『そして誰もいなくなった』以外にも、よくタイトルを目にする名作推理小説は読んだことのないものばかり。そんな推理小説の名作古典を読んでみたい!ということで、今回の記事で実践してみたいと思います。


なぜ“はじめのいっぽ”を踏み出せないのか?

やりたいと思っているのにできない。その理由を、レポート『はじめのいっぽの軽量化』では「物理的阻害要因」と「心理的阻害要因」の2つに分けて紹介しています。
これを参考に、私が名作古典を読めていない要因を考えてみました。

【物理的阻害要因】
①    配信動画やアプリゲームなど期限付きのコンテンツに追われて、読書に割く時間がない
②    購入しても本棚に並べられるスペースがない

【心理的阻害要因】
③    家にも読んでいない本がたくさんあるので、新しい本に手を出すことに抵抗感がある
④    学生時代に読んでおきたかったという思いから、「いまさら遅いのでは…」と思ってしまう

特に③の「抵抗感」が非常に厄介です。
新しく買った本をいざ読もうとしても、そびえたつ“積読の壁”が視界に入ってしまい、

→積読への罪悪感から新しい本を読み始められず、後回しになる

→その本が新たに上に積まれることで、また積読の壁が高くなる

という悪循環を生み出しています。


「図書館で借りる」ことで4つの阻害要因を解決!

そんな4つの“逆風”をクリアでき、かつ「楽にできそう!」と思える一歩とは。考えた結果、「図書館で借りる」という策にたどり着きました。

【「図書館で借りる」を実践すると…】
①    配信動画やアプリゲームなど期限付きのコンテンツに追われて、読書に割く時間がない
 →返却期限があるので、読書の優先順位が上がる

②    購入しても本棚に並べられるスペースがない
 →借りて返すものなので、スペースの心配は不要

③    家にも読んでいない本がたくさんあるので、新しい本に手を出すことに抵抗感がある
 →家にある本は購入したものなので、いつでも読めると割り切れる。また、これを機に腰が軽くなり、家にある未読本をどんどん読むようになる可能性がある

④    学生時代に読んでおきたかったという思いから、「いまさら遅いのでは…」と思ってしまう
 →“はじめのいっぽ”を実践する今がそのタイミング!

【「図書館で借りる」の楽にできそう!なポイント】
✓ お金がかかっていないので、読めなくてもプレッシャーにならない

✓  図書館が自転車で行ける距離にある

✓ 昔はよく利用していたので、中に入るのに心理的ハードルがない

この解決方法にたどり着くまで、図書館という選択肢があることをすっかり忘れていました。大学生でバイトを始め、自由に使えるお金を得てからは、所有欲と面倒くささに負けて本は購入一択。すっかり図書館とは縁遠くなってしまっていました。
しかし今までと同じ方法では、いつまでたっても名作古典小説を読めない。というわけで、早速図書館に行くことにしました。


いざ、久しぶりの図書館へ

駐輪場に自転車を止め、自動扉をくぐると、目に飛び込んできたのはグレーのカーペットと木製の本棚、そして創英角ポップ体の掲示物。少し古臭いけどほっとする、あの頃のままの図書館がありました。
しかし、貸出機が全自動になっていたり、紫外線で本を除菌するボックスがあったりと、所々で時代に合わせた進化も感じました。

貸出カードの更新を済ませ、早速文庫コーナーへ。お目当てはやはり『そして誰もいなくなった』です。普段本屋で本を探すときはすぐに検索機を使いますが、せっかく図書館に来たのだから自分の目で見つけたい!と検索機を使わずに探し始めました。

そんな意気込みもむなしく、いつまでたっても目当ての本は見つけられず…。検索機に慣れてしまったせいで、「背表紙で本を探す」という能力がすっかり損なわれていたことに、この時気が付きました。

結局、検索機を使って「アガサ・クリスティー」と入力。しかし、出てきた結果は児童書ばかり。
「やはりいま読むのでは遅いのか…」と心が折れかけましたが、検索結果を見ていくうちに、どうやらこの図書館は大人向けに出版されたアガサ・クリスティー作品の蔵書が少ないらしいと判明。とはいえ他の図書館に行くのは面倒なので、そのまま児童書コーナーへと向かいました。

残念ながら『そして誰もいなくなった』は貸出中だったものの、同じくアガサ・クリスティーの『オリエント急行の殺人』を発見。手に取ると、表紙には児童書らしいイラストのポアロが描かれていました。
そのやけにイケメンなポアロを見て、再び児童向けであるという事実を突きつけられた気持ちになりましたが、大人が読んでもいいじゃないかと開き直って、全自動貸出機で無事手続きを完了させました。

名探偵ポアロ オリエント急行の殺人 アガサ・クリスティー/著 山本 やよい /訳
(HJB ハヤカワ・ジュニア・ミステリ)


『オリエント急行の殺人』を読んでみた!

『オリエント急行の殺人』という作品の名前は、『そして五人がいなくなる』と同じはやみね かおるさんの『オリエント急行とパンドラの匣』という小説を読んだときに知りました。『そして誰もいなくなった』と同じく、いつか読んでみたいと思っていた作品です。

オリエント急行とパンドラの匣 名探偵夢水清志郎&怪盗クイーンの華麗なる大冒険
はやみね かおる/著 (講談社青い鳥文庫)


読み始めるにあたり、阻害要因の一つであった「読書時間の確保」を解決すべく、ダラダラとスマホを見そうになったらスマホから本に持ち替えることを意識しました。
すると、返却期限である2週間を大きく下回る、3日間で読了!「時間がない」というのは思い込みでしかなかったと気づきました。

挿絵の多い児童書を借りたことも、今回はプラスに働きました。『オリエント急行の殺人』は登場人物が多く、また馴染みのないカタカナの名前であることも影響し、誰が誰だか分からなくなることがありました。
しかし、登場人物紹介ページにそれぞれの顔のイラストが描かれていたので、そのページに戻るたびに段々と人を覚えていき、物語にのめりこんでいけるようになりました。

読み終わった後に抱いた感情は、あまりプラスなものではありませんでした。『名探偵コナン』や『相棒』における“正義”が価値観として染みついている私にとっては、ポアロと周りの選択に納得がいかなかったのです。
それでも、個性豊かな登場人物が出てくるワクワク感や奇想天外なトリックはまさしく「名作」だと思いました。


踏み出せた“はじめのいっぽ”

ずっとやりたいと思っていても出来なかった「推理小説の名作古典を読む」ですが、図書館で借りたことで阻害要因をクリアし、“はじめのいっぽ”を踏み出すことができました。
そして、他にも『そして誰もいなくなった』はもちろんのこと、『シャーロックホームズの冒険』『十角館の殺人』など読みたい作品はまだまだ沢山あります。今回踏み出した一歩を重ねていくことで、今後も夢中を育てていきたいと思います。


●レポート著者 安田 観測員からのフィードバックコメント

このたびは実践していただき、どうもありがとうございます!
ご自分に合った軽量化方法を見つけたことも、その方法もとても素敵だと思いました。
興味があるのになかなか取り掛かれないのは、できない理由の方が簡単に思いつくし、そうだと思い込んでしまうからかもしれませんね。そこを、何が邪魔しているのか(阻害要因)をほんの少しでも考えてみて、何がクリアできればやれちゃうのかもを想像することによって、気楽に“はじめのいっぽ”を踏み出したいですね。
数ミリメートルでも動いてみたら、思ったよりハードルは低いと感じるかも!?みなさんの夢中時間が増えるヒントになれば幸いです。


▼「夢中観測レポート2021」はこちらから読むことができます。
くらしの夢中観測所 | くらしの夢中 | クラシエ (kracie.co.jp)

▼すべてのレポートが簡潔に紹介されている導入編はこちらhttps://note.kracie.co.jp/n/nc9c125cb064a 

▼「夢中になれる時間」を増やすためのヒントを執筆した夢中観測員の2人に、インタビューした記事はこちらhttps://note.kracie.co.jp/n/n8e5271f00473 


ライター:谷村


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