夢中のはじまりをもっと楽に。『はじめのいっぽの軽量化』チャレンジ第二弾“カリグラフィー”に挑戦してみた!
世の中にもっと夢中を増やすために生まれた「くらしの夢中観測所」。
その活動の中で、観測員は毎日に夢中時間を増やす9つの『くらしの夢中ヒント』を見つけました。
今回はその9つのヒントのうち、『はじめのいっぽの軽量化』を実践する企画の第二弾!「カリグラフィー」に挑戦した様子をお届けします。
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「自分でも書いてみたい!」きっかけをくれたInstagramからのおすすめ
今回挑戦する「カリグラフィー」とは、アルファベットを美しく書く技術のこと。メッセージカードや結婚式のウエルカムボードに書かれている、華やかな書体の英語を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
今回、私がカリグラフィーに挑戦してみたいと思ったきっかけは、Instagramでたまたまおすすめに出てきた動画。1本のペンから美しい文字が生まれていく様子は見ていて飽きず、一時期の私のInstagramには誰かが文字を書いている動画ばかりが表示されていました。
動画を見ているときは、「きれいな文字だなあ」という認識でしかありませんでしたが、ある時、ふと調べてみると、それは「カリグラフィー」と呼ばれる技術であり、しかも体験教室があることが判明。動画を見ているだけでも満足していましたが、それが自分で書けるなんて…!すぐさまコラムの企画案として提案し、今回の企画につながりました。
私が申し込んだ体験教室では、道具の準備はいらず、先生が一から教えてくれます。「カリグラフィー」という名前を知ったばかりで、何から始めたら良いかがわからない私にはうってつけでした。体験教室はまさにカリグラフィーを始めるための『はじめのいっぽの軽量化』を担ってくれる存在でした。
いざ、体験教室へ!
今回カリグラフィーを体験させていただいたのは、銀座にある「日本カリグラフィースクール」さん。2つある体験講座のうち、「カードづくり体験」を受講しました。その体験内容について、紹介させていただきます。
■体験の内容
① イタリック体の基本ルールを学ぶ
今回学ぶのは、たくさんある書体の中でも最初に覚えるのに最適なイタリック体。イタリック体では、ブロードペンと呼ばれる、ペン先が平たくなっているペンを使います。イタリック体にはきちんとしたルールがあり、「文字の傾斜は5°、ペン先の角度は45°」と決まっています。そのため、ペン先の平たいブロードペンで書くと、ペンを進める方向によって線の太さに違いが出てきます。カリグラフィーは個人の美感にゆだねられた芸術だと思っていましたが、考えていたよりもシステマチック…驚きでした。
体験クラスでは、パラレルペンと呼ばれるインク一体型の市販のブロードペンを使用してイタリック体を書いていきました。
② 基本のストローク練習
字を書く前に、まずは直線や曲線を書く練習から。くせのあるパラレルペンは扱いづらく、またペン先を真上に移動させるという普段しない動きもあり、なかなかうまく線が書けません。
しかし、次第にペンに慣れてくると、ペン先の角度や力の入れ方次第で線の太さやきれいさ、インクの出方が変わるのがわかり、面白くなっていきました。
③ 文字の練習
ストローク練習の後は、いよいよ文字の練習。線はある程度書けるようになっていましたが、実際に文字に落とし込むと、バランスが取りづらい!特に「y」の最後の曲線に苦戦しました。
④ アレンジバージョンの練習
基本の字体を練習したら、今度は基本から発展したアレンジバージョンの字体を練習します。この辺りで集中力が切れたせいで、線がガタついたり、文字をミスしたり…。集中していないとすぐに線や文字に表れてしまうことを痛感しました。
⑤ カード作成
最後はいよいよ本番のカード作成。改めて気合を入れなおして臨んだ1枚目は、逆に慎重になりすぎて力んでしまったことで、線ががたつき、硬い印象になってしまいました。その後カードへのデコレーションに文字以上に時間をかけてしまい、2枚目のカード作成が残っているにも関わらず気づけば終了時間間近。先生には「急がなくてもいいですよ」と優しい言葉をかけていただきましたが、とはいえあまり時間もかけていられない…。思い切ってお手本にこだわり過ぎず、「えいや!」と書いてみたところ、のびのびとした線が書けて、案外良い出来に!先生にも褒めていただきました。最後に良い字が書けて大満足!でした。
こうして2時間の体験が終了した後、練習してきた字を改めて見てみると、短時間にも関わらずしっかりと上達していました。それは、ペンに慣れたということもありますが、その都度先生が優しく添削してくれたことも大きな理由であると思います。新井典子先生、そして日本カリグラフィースクールの皆様、ありがとうございました!
カリグラフィーを通じて得られた、1つのことに“夢中”になれる時間
カリグラフィーの体験を終え、教室を出ると、急にどっと疲れが押し寄せてきました。しかしその疲労感は、仕事の後に感じるようなものとは少し違い、心地良さがありました。
社会人になってからというもの、文字はパソコンに打ち込むばかりで、字の美しさに気を配るどころか、漢字の書き方さえも忘れてしまうほど。そんな今、画面ではなく紙を見て、キーボードではなくペンを使うことで、普段とは違う体・頭の使い方をしたことが、まるでストレッチをした後のような気持ちのいい疲労感に繋がったのではないかと思います。
“夢中”で文字と向き合った2時間は、有意義で、とても贅沢な時間でした。パラレルペンをお土産にもらったので、今後も時間を見つけてチャレンジしてみたいと思います。
取材協力:日本カリグラフィースクール
ライター:谷村