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「運動ができないことが長所」。郡司理加さんが、世の中にポジティブを増やしたい理由。

人気テレビ番組「月曜から夜ふかし」で運動が苦手でも何事にも一生懸命に挑戦する姿を見せ、多くの視聴者を虜にした郡司理加さん。

自主映画、ドキュメンタリー映画を配給するNPO法人「ハート オブ ミラクル」で理事兼広報を担当しながら、SNSでの情報発信やYouTubeチャンネルでの動画配信、ダ・ヴィンチニュースでのエッセイ執筆など、マルチに活躍されています。

抜群の行動力でさまざまなことにチャレンジし、ありのままの魅力で周りの人を惹きつける郡司さんが考える夢中とは? 以前から郡司さんのファンで活躍に注目していた、くらしの夢中観測員 黄子綾が聞きました。

SNSの影響が大きい今。もっとポジティブな発信を増やしたい

:郡司さんが今、夢中になっているものは何ですか?

郡司:今、ダ・ヴィンチニュースで月に2回エッセイを書いているので、最近はエッセイを書くことと、YouTube動画を作ることに夢中です。

新型コロナウイルスの影響で、「ハート オブ ミラクル」の仕事があまりできないこともあり、寝ても覚めてもエッセイとYouTube動画のことばかり考えている状況です。

:郡司さんにとって夢中とは何でしょうか?

郡司:「一番身近な娯楽」でしょうか。最近は、自分の中で娯楽の内容が変わってきている気がしています。以前はテレビや漫画など一方的に情報をキャッチするもので楽しんでいたのですが、自分から情報発信をするようになり、自分の中から出たものを楽しむほうがずっとワクワクできるな、と感じています。

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: SNSなどでの情報発信に力を入れていますよね。どうして情報発信をするようになったのでしょうか?

郡司:「SNSにもっとポジティブなことを増やしたい」と思ったのがきっかけです。SNSは、今の若い人達が一番影響を受ける場所です。私が学生の頃の雑誌やテレビのようなもので。ネガティブなことばかり書かれていたら、若い人達が社会に出たくなくなってしまうのではないでしょうか。マイナスな意見は鋭いので、たとえ少量でも届きやすいのですが、だからこそ、ポジティブな発信を増やす必要があります。

それから、私にとってSNSはお茶の間のような場所です。自分が我に返れる場所でもあって。いつでもいろんな人と安心して団らんできる場所になるといいと思っています。

生徒会長になり、運動が苦手な人も楽しめる体育祭をつくる

:今の郡司さんをつくった転機はありましたか?

郡司:運動ができないことがきっかけで、高校1年生のときにかなり酷いいじめに遭いました。でも、偶然父が転勤になり、引っ越しをして転校したのですが、転校先がとてもいい学校だったのです。

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その学校で、運動音痴の人もそうじゃない人も楽しめる体育祭をつくるために、生徒会長になったことが私の転機になったと考えています。

:どうして体育祭をつくろうと思ったのでしょうか?

郡司:転校先の友達が、やさしく私を受け入れてくれたのがすごくうれしかったんです。「皆に何をお礼すればいいんだろう? 」と、考えていたところ、友達が「体育祭がないけどやりたい」と言っていたのを聞いて、「じゃあ一緒につくろう」ということになりました。

:ただの体育祭ではなく「運動音痴の人もそうじゃない人も楽しめる」という前置きがつく。誰もが楽しめる体育祭という発想が素晴らしいですね。

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郡司:ただ単に私が楽しみたかったんです。目安箱にやりたい種目を入れてもらい、それを参考にしつつ、オリジナルで笑える競技をつくっていきました。本当にめちゃくちゃだったので、先生が一番苦労されていました。

それから転機と言えば、中学1年生のときの担任の先生との出会いも大きいです。すごくいい先生で、今でもたまに電話しますが、大きな変化があるときにはいつも先生がいました。

その先生は、1日に学級通信を2、3枚書くんです。最後には1年分をまとめてくれるのですが、すごい分厚さになっていました。先生に出会って「頑張ることは恥ずかしいことじゃない」と思うようになりました。

:そういう出会いって大事ですよね。

郡司:学生の頃に、ルーマニア大使館の領事さんが近所に住んでいたのですが、その方にも影響を受けています。その方は、人と繋がるときは必ず相手を笑わせようとしていました。偉い方なのに、鼻眼鏡をしてみたり、マジックをしたり。

それが最初に教えてもらった社会との繋がり方なので、「人とは笑いで繋がること」は今でも大切にしています。

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悩みは一旦置いておく。いつでも頭をクリアにしておくことが大事

:情報発信をする中で迷うことはありますか?

郡司:いつもはポジティブなのですが、半年に1回ぐらい落ち込みます。人見知りですし、人との関わり方が元々うまい方ではないので。最近も、「私が情報発信をすることで、誰かに嫌な思いをさせているんじゃないか」と不安になって落ち込みました。

でもあまり長く悩まないです。悩んでも解決しないので、30分ぐらい考えたら悩みを一旦置いておくようにしています。悩みを持たないようにする癖をつけているんです。常に頭をクリアにして空きスペースを作っておけば、新しい何かが来た時にキャッチできるので、この習慣は続けていきたいです。

:私は悩みがあると気になって眠れなくなってしまうのですが、悩みを一旦置いておけるようになったきっかけはありましたか?

郡司:昔から、悩んでいると母に、「はい、もう考えない!」と言われていたので、そこから悩まない癖がつきました。一秒でも惜しいというか、死ぬ間際に、「あのとき悩んだり、モヤモヤしてた時間って無駄だったな」と思うのが嫌なんです。できるだけ楽しく過ごしていたいですし、大人が楽しそうにしていれば、子どもも大人になりたくなるのではないでしょうか。

:お話を聞いていると「若い人への想い」があるように感じるのですが、何か理由があるのでしょうか?

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郡司:実は1年間、養護学校で教師をしていたんです。しかし、理想と現実はやはり違いましたし、色々なことがある中で自分自身が疲弊してしまったので退職しました。現状を変えたくても、教師としてここにいても変わらないと思ったので、違うところから変えていくしかないかなと。

SNSでの情報発信は子どもたちに響きますし、だからこそ、SNSをもっと安全な場所にできればと考えています。

それから、私は両親や先生など、助けてくれる大人が周りにいる恵まれた環境にいたのですが、そうじゃない人もきっといます。私も学生時代は窮屈でしたが、大人になってからやっと自分らしくいられるようになりました。

今、窮屈な思いをしている若い人が社会でどう生きていくかを考えたときに、私も一つの生き方の例になりたいですし、前向きな考え方を届けたいという想いがあります。

小学生の頃は、「私以外、こんなに運動音痴の人はいない」と思っていたので、そういう意味では孤独でしたし、運動音痴がきっかけで、小学校3年、5年、高校1年と、何回もいじめに遭ってきました。

でも、小学校5年生のときに教頭先生が今自分におきていることがどういうことなのか一緒に話し合ってくれたんです。そのとき話してくれたことが本当かどうかは分かりませんが、「私が劣っているからいじめられていたんじゃないんだ。」と、自信に繋がりました。

そこから「悩んだり恨んだりしても仕方ない」と、楽観的に考えられるようにもなったので、私もそういう良い影響を与えられる大人でありたいと思っています。

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「できなくてもやっていいんだ」。挑戦するハードルを下げたい

:YouTubeチャンネルで、さまざまなチャレンジをしていますが、周りの反応はいかがですか?

郡司:見てくださった方からは「元気が出た」というコメントが多くてうれしいです。私は今まで、運動音痴で笑われる一方だったのですが、自分から発信するようになり、笑い合えるようになりました。笑い合えると、途端に楽しくなります。

私がチャレンジにこだわる一つの理由が、挑戦することのハードルを下げること。100%の完成形を見せるのではなく、ありのままをさらけ出して、見た人に「こんなにできなくてもやっていいんだ」「楽しんでいいんだ」と、思ってもらいたいです。

:何度も諦めずに一生懸命に挑戦する姿に感動しているのですが、その力はどこから湧いてくるのでしょうか?

郡司:私は真面目なことしか取り柄がないので、何もないからこそ、一生懸命やるしかないなと。それなら自分次第で何とかできます。

あとは優先順位をつけて、余計なものに力をかけない、一点に集中して力を注ぐことは心掛けています。人と違うところと言ったら、「運動ができないこと」なので、今は逆にそれが自分の長所だと思っています。

:これから挑戦してみたいことはありますか?

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郡司:私が悩まない分、皆さんの悩みを聞けるので、「お悩み相談室」をやってみたいです。あとは、音痴ですが歌にも挑戦してみたいです。そして「音痴でも歌っていいんだ」と思ってもらいたい。コロナが収束したら海外に行って、旅エッセイも書いてみたいです。

:最後に、日本に夢中を増やすには何が必要だと思いますか?

郡司:日常的に軽やかになる練習をするといいのではないでしょうか。最初に乗り越えるワンステップはすごく低くて、そこを越えると夢中になれる。

例えば、ずっと気になっていたけど行っていなかったカフェに行ってみたり、普段は買わない5000円する茶葉を買ってみたり。何でもいいのですが、最初のワンステップを踏むことに軽やかになることから夢中への道が開けます。

私は飽き性なのですが、例えばやりたいことが世の中に500個ぐらいあったとして、そのうちの100個やってみて、続けられることが1個あればいいと思っています。そのぐらいの気持ちで、気になることがあったらとりあえずやってみるようにしています。

私の父がよく、「棚ぼたのときは掴みに行け」と言うのですが、これも大事なことだと考えています。これは「落ちてきたのは泥団子かもしれないけど、もしかするとすごく美味しいお団子かもしれないので、キャッチしないで床に落ちていくのをただ見ているのはもったいない」ということ。チャンスが来たときにキャッチできるように、何でも入れられる状態にしておくことが大切だと思っています。

:郡司さんは、毎日を夢中にする達人ですね。今回は、夢中になるためのヒントをたくさんいただき、ありがとうございました。私たちの夢中探訪はまだまだ続きます。次回もお楽しみに。

【郡司理加さんに教わった夢中になるためのヒント】

・他の人と違うことは、自分の長所だと考えよう。
・悩んでも解決しないことは、一旦置いておこう。
・いつでも頭をクリアにしておこう。
・チャンスが来たら、とりあえず掴みに行こう。
・苦手なことも楽しんでやってみよう。
・最初のワンステップを軽やかに越えよう。

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