個人の夢中を応援している図書館に行ってみた。【夢中観測ツアーinフィンランド】
幸せの国で、くらしの夢中は観測できるか?
フィンランドは、世界一幸せな国なんて言われます。
国連の関連組織が発表する2019年の世界幸福度ランキングでも1位を獲得。
しかも2年連続で。
どんな国なんだ?フィンランド。
よく言われるのは、社会保障や教育が充実している生活しやすい国だから、という理由ですよね?
でもきっとそれだけじゃない、くらしの中に夢中がたくさんある国なのではないだろうか?とくらしの夢中観測所は仮説を立てました。
ちなみに私たちが掲げる「くらしの夢中」というのは、いわばくらしを明るくしたり、楽しくしたり、前向きにしたり、キラキラさせる夢中。
便利や暮らしやすさとは違う、これからの幸せなくらしのモノサシとしての夢中です。
若者を始め日本でもたくさんの人を夢中にしているサウナの生まれた国。
ムーミンバレーパークがオープンしたり、世界で一番ファンが多いと言えるくらい、日本人を昔から夢中にしてきた国。
フィンランドに行ってみれば、日本に増やしたい「くらしの夢中」のヒントが、きっと観測できるはず。
いてもたってもいられなくなり、行っちゃいましたフィンランド。
時期は6月。
太陽がなかなか沈まない白夜の時期。
冬が長いフィンランドの人々は、短い夏を思い切り楽しむのだとか。
でも私たちは、楽しんでばかりいられない。
くらしの夢中を観測するという使命をまっとうするのである…
都会と森のくらしと両方観測しよう!サウナは当然!ホームステイもしなくちゃ!インタビューも!と鼻息荒い観測員mとk。
どちらも初めての渡芬です。あ、この字が読めない?すみません。フィンランドは漢字で芬蘭と書くんです。行く前に色々調べて知り、書きたくなってつい。
日本人と性格が似ていて優しくてシャイだとか、女性の社会進出がめちゃくちゃ進んでいるとか、音楽は意外にも激しいメタルが大好きとか、エアギターや奥様運び選手権など茶目っ気しかないお祭り好きな国民性とか、観測しがいのある国フィンランド。
結論から言いましょう。くらしの夢中、かなり収穫できました!!!
ヘルシンキの真ん中に、夢中を応援する図書館がある!
まず紹介したいのはヘルシンキの中央図書館。
でもこの図書館「Oodi(オーディ)」は、ただの図書館ではありませんでした。
日本では図書館というと、本を読む以外のことをすると怒られてしまうイメージがありませんか?でもこのOodiでできることは本を読む以外にも、ミシンや刺繍で服を作ったり、
3Dプリンタで何かをデザインしたり、映画を見たり、音楽を作曲・演奏したり、写真の撮影・現像ができたり、最先端のゲームを楽しんだり、黙々と仕事に没頭したり、打ち合わせしたり、カフェでくつろいだり、子どもを遊ばせたり…
とにかくやりたいことが次々と思いつくほど、なんでもできてしまう図書館なんです。
どんな夢中も、まだ夢中がない人も、受け入れる場所。
私たちが行った直後の2019年8月には国際図書館連盟から「Public Library of the Year」にも選ばれた、まさに世界一の図書館。
建築的にも素晴らしいこのOodi、1階がロビーとレストラン、2階が作業スペース、3階が図書館になっているのですが、とにかくどのフロアも居心地が良すぎでした。
本を読んでもいいし、PCで仕事をするのも、座ったり、寝そべったり、段差にもたれたり、好きな姿勢でできるんです。
2時間ほど2階にいたのですが、すぐ後ろでは10人くらいの大学生らしい地元の女の子たちが会話していて、時々工房に行って衣装をつくりながら、どうやら演劇か何かの打ち合わせを、楽しそうにずっと続けていました。
日本の図書館だと、楽しそうに喋る人がいると迷惑そうにする人も多いのですが、ここではそんな光景はありません。もちろん誰もが必要以上に、大きな声で話すこともありません。
ラウラさんの言うように、フィンランドは性善説が前提で成り立っている社会なんだというのを、ここで確かに感じることができました。
そしてOodiは、好きなことをどんどんやってみることを応援しています。
3階で本を読んで、何かやってみたくなったら2階に行って試してみることができる。夢中のきっかけを探せて、それをすぐに行動して試せるというのも、日本の図書館にはなかなかありません。
小さな子どもから大人、お年寄りまでいろんな人たちが、それぞれの夢中を、のんびりと楽しんでいました。
3階の図書館に行ってみたら、驚きの連続でした。
まるで生命体のような天井や、
広くてたっぷり光が入る大きな窓、
子どもを遊ばせることのできるスペースがあり、子どもが夢中になるカラフルなラグマットや、いろんな遊具がありました。
知育遊びができたり、
おいしいコーヒーが飲めるカフェや、
パソコンで仕事に集中できる席や、
見晴らしのいいオープンデッキがあったり、
ずっとここにいたいと思える場所が、いくつもいくつもあるんです。
Oodiの居心地の良さの理由は、建物の設計はもちろんですが、この施設全体に漂う、すべての人を受け入れる寛容さにあるのではないかと、ふと気づきました。
そう感じた理由は、この階段です。
寂しい人、プリンセス、TVのスポーツ観戦が好きな人、アナキスト、外国人、内向的な人、怠惰な人、クレイジーな人、サウナに入る人、やけになっている人…など様々な人に向けた言葉が書かれています。
これだけたくさん書かれていると必ず、あ、これは自分だと思えるものがひとつはある。
これはOodiが全ての人のための場所であることを表明した階段なのだとか。
まだない夢中を探したい人にも、夢中を突き詰めたい人にもやさしい。
どんな夢中でも応援してくれるフィンランドという国の、寛容さへの強い意志が漂っている。そんな場所に思えました。
フィンランドの夢中観測の話、まだ続きます!
【Oodiで観測した夢中になるためのヒント】
・世界一幸せな国は、夢中になるのもとても上手だった。
・子どもからお年寄りまで、すべての人は夢中になれる。
・やりたいと思ったことを、まずやってみることが夢中を育てる。
・夢中になれる人は、他人の夢中にもやさしい。
・国や組織も個人の夢中を応援することができる。