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インタビュー初心者が実践、効果的な「N=1」インタビューの秘訣とは。


インタビューをする人との関係性やシチュエーションによって何が変わる?

「生活者まちなかインタビュー」 から始まったインタビュー活動。くらしの実態やお気に入りの場所、幸せを感じる時間などについて一人ひとり  にお話を聞きました。最初は、公園で出会ったママさん3名と森下にある「喫茶ランドリー」の常連さん1名へインタビューを実施しました。

「インタビューするならば、できるだけいろいろな立場の人の話を聞きたい」と思った私は、友人や同僚をはじめ、先輩や上司、年上のサークル仲間などさまざまな年齢、立場の人にインタビュー。少しでも考え方を取り入れられればと、憧れを抱く人に声をかけ、合計で10名以上にインタビューをすることができました。実際にやってみてわかったことを共有します。

まず一つ目は、地域性についてです。大阪出身の方にインタビューをしたところ、止めどなくどんどんお話が溢れてきました。完全に主導権を握られ、インタビューをしているのか、されているのかもわからない状況に。生まれ育った地域や環境によってインタビューのしやすさや回答量に大きな差が出ると考えられます。

二つ目の発見は、インタビュー時のシチュエーションについてです。今回私は、飲み会やバスの待ち時間 、オンラインや自宅など、さまざまな場所・シチュエーションで試してみました。

まず、まったくダメだったのが「飲み会」です。騒がしいうえに、他の人も「なになに?」と会話に入ってきてしまうため、インタビューが成立しないことがわかり、早々に切り上げました。
 
逆にうまくいったのが、バスの待ち時間や電車の中。時間制限があることが心理的な安心感につながったのかもしれません。向かい合って目を合わせてではなく、横に並んでいるほうが話しやすい、という点もあると感じました。
 
また、オンラインで自宅からインタビューに答えてもらうケースもうまくいきました。人と会う機会が少ない状況だったからかもしれませんが、楽しそうに回答してくれたのが印象に残っています。リラックスできる環境で答えてもらうことも大切なポイントです。

そして三つ目。全く知らない初対面の方と、もともと知っている方の両方にインタビューをして気付いたのは、「知人のほうが明らかに感情を読み取りやすい」ということ。

初対面の方のインタビューでは感情を読み取るのも、本音なのかどうか見極めるのも難しく感じました。一方、知人の場合は「この話は興味がないんだな」「これは関心が高いテーマなんだな」など表情や話し方から感情の強さや本音を読み取ることができました。
 
この次のステップである「インサイトの発掘」とは、「〇〇さんは、本当は〇〇がしたい!」という本音を深掘るものなので、情動の強い部分をピックアップすることが重要です。初対面の方にインタビューをするときにも、感情を引き出すにはどうすればいいのか? まだまだトライ&エラーが必要です。

ポジティブとネガティブ、違う角度から考えてみる

インタビュー結果から「インサイトの発掘」をするステップで特に重要だと感じたのは、「違う意見を意識して発言すること」でした。誰かが意見を言うと、「それはいい考えだね」と共感する声が多く出て、褒め合う集団になってしまうことがよくありました。そのとき、メンバー の方から「共感するだけでは考えは深まっていかない」というアドバイスをいただいたのです。確かに「こういうことも考えられるよね?」などと違う角度から見て意見を言ってみると、議論が深まっていくことが実感できました。

そこで私は「インサイトの発掘」のステップで、「ポジティブを増強するか」と「ネガティブを解消するか」の二つの角度から考えてみることにしました。どういうことなのか一つ例を挙げてお伝えします。

いつも人を驚かせるような提案をするマーケティング部の先輩へのインタビューから「多様性を表す虹色が好き」という発言をピックアップ。

それをポジティブに「多様性=違いを受け入れる」という角度から考えてみます。すると「多様性を表す虹色が好きな〇〇さんは、自分の思ったことを発信するだけではなく、他の人の意見も聞きたいと思っている」というインサイトができました。

逆にネガティブな角度から「多様性=衝突が起こる」と考え、そのネガティブを解消するインサイトを考えてみます。すると「多様性を表す虹色が好きな〇〇さんは、多様性ゆえに生じる議論や衝突に対して積極的でありたいと思っている」というインサイトができました。

多様性のポジティブな面とネガティブな面、二つの角度から見ることで考えを深めることができたのです。

夢中は意外と身近にあるもの

今回、いろいろな人にインタビューを実施して、多くの夢中を拾い集めることができました。
 
最初は半信半疑でしたが、実際にインタビューをしてみると、「N=1リサーチ」からたくさんの考察ができること、そして皆で話し合い、さまざまな角度から意見を出し合うなかで、新規性のあるインサイトに磨くことができることがわかりました。
 
くらしの夢中は、その人が大事にしているものの延長線上にあり、実は多くの人が持っているもの。なにか特別で難しいものではなく、意外と身近にあるものなのかもしれません。

くらしの夢中観測員:小林由奈