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とんでもないこと、やらかしてますね。虫は立入禁止!執念で達成した虫混入クレームゼロ

クラシエが「 CRAZY KRACIE」 を標榜してから4年。社内ではさまざまな人によって、「常識を超えていく」 仕事や活動が創出されている。なかでもとりわけCRAZYなのが、不可能だと思われていた「 髪の若返り」 を実現したビューティケア研究所の礒辺真人さんと、工場の一部が重要文化財である新町工場で「 虫混入お申し出件数ゼロ」 に挑戦した新町工場の清水大輔さん。2人は2020年、2021年のNICE!CRAZY大賞も受賞した。そんな2人の「 ここまでやるか!」 なストーリーとは?

清水大輔
クラシエフーズ株式会社 新町工場

これまでできなかった虫混入ゼロ
自分が絶対実現してやるぞ

幼い頃から「ヨーロピアンシュガーコーン」が大好きだった。高校3年で就職先を探していた時、高崎市の新町工場を見つけた。担任の先生に聞くと、なんとそこはヨーロピアンシュガーコーンを作っている工場!他の就職先の紹介を断り、卒業後、念願のクラシエフーズに入社した。工場での仕事は、小中高とスポーツをやってきた清水さんにとって、体を動かす機会の多い「向いている仕事」だったと言う。
入社当初は、アイスクリームの素をつくる「仕込み」を担当。その後はアイスクリームの素を凍らせて製品化する「フリーザー」工程へ。さらに2018年から兼務しているのが防虫懇談会事務局だ。防虫懇談会では、月に1回防虫業者がすべての製造室を点検し、その後、工場の防虫委員と内容を共有、対策を検討・実行する。
商品への虫混入は、食品工場であればどこでも厳しく対策しているもの。新町工場ではこれまで、虫混入クレームは年にせいぜい2、3件。それでも、ゼロはなかなか達成できなかった。
「だからこそ心に決めました。虫混入お申し出件数をゼロにするぞと。今まで成し遂げられなかった記録を、自分が絶対達成してやる、と思ったんです」
ゼロを目指すといっても、最初は何から手を付けたらいいのかわからない。「追い詰められて、家に虫が大量発生する夢をみてうなされたこともあります」しかし先輩からアドバイスをもらい、それを自分なりに工夫して考えることで道を見つけていく。3人だった防虫委員も、若手を中心に声をかけて自ら増やしていった。


隙間、カビ、扉の開閉
虫の出どころを撲滅する

まず取り組んだのは、防虫懇談会で受けた指摘の水平展開だ。「この隙間から虫が入ってくる」という指摘を受けたら、同じような箇所が工場内にないか委員で調べる。始めて数ヶ月経った頃には、防虫業者にも「新町、きれいになりましたね。指摘するところがありませんよ」と言われるほどに。
また、生産工程の中で虫が入るタイミングは、扉の開閉、包材や原料の受け入れ時などがある。清水さんは扉の開けっ放しを細かく注意するなどして、防虫意識の向上を促した。包材や原料へのエアシャワーの吹付け量を多くするといった変更も実行。それでも、敵はしつこい。虫は入ってくるだけでなく、工場内部で発生することもある。
「水場は要注意です。チャタテムシは、残渣やぬめり、カビなどに寄ってくるからです。冷菓の製造場は湿度が高く、カビがすぐ生えてしまうんですよね。だから機械の下や排水溝などをしっかり洗浄・殺菌することが大事なんです」
週末に大掃除を実施し、同僚の協力を得ながら虫の発生源を徹底的になくしていった。
新町工場はお菓子、食品の生産棟の一部が重要文化財であり、建て替えなどのハード面の抜本的な対策ができないぶん、細心の注意が必要。清掃や修繕といった地道な努力で虫が入ってくる原因を一つ一つ地道につぶしていったのだ。
清水さんたちの努力が実り、ゼロの日が続く。数ヶ月前からドキドキしながら見守るなか、ついに2019年3月、冷菓工場・食品工場ともに1年間虫混入お申し出件数ゼロを達成!
「その瞬間は、喜びよりも安心する気持ちが強かったですね。そしてすぐに『じゃあ来年は何をしていこうか』と皆で話し合いました」
虫混入お申し出件数ゼロは2020年度も達成し、2022年3月までにクレームがなければ、3年連続達成という記録を打ち立てることになる。

クレイジーな人がいると、未来が楽しみになる。

自分でやりたいことを決め、好きで取り組んでいる清水さんと礒辺さん。いろいろな試行錯誤はあっても、まわりにも好影響をあたえ、「NICE! CRAZY大賞」でも評価された。それは「未来がたのしみになる賞」かもしれない。さぁ、これからの2人は。

クレームゼロでは足りない
虫を見かけることすらない工場を目指して

「いろいろな人から『防虫でCRAZY大賞取ったね!できること協力するよ』と言ってもらい、工場が変わっていっているのを感じます。虫混入ゼロ件で注目され、全員の仕事に対する見方が変わっていってるんです」
現在は知育菓子®生産も加わり、防虫エリアが拡大。虫混入お申し出件数ゼロを達成したからといって慢心する暇はない。
「改善結果を習慣化する。常に新しい角度から工場を見て、次の改善点を見つけていく。これを繰り返すことで、工場をよりよい環境にしていけるはず」
もともとそこまで意欲的な性格ではなかったという清水さん。学生時代のスポーツ、そして新町工場での経験が自分を変えてくれた。
「周りの人が自分に期待してくれるので『もっとやらなきゃ』という気持ちになったんです。優しく、時には厳しく接してくれる上司や先輩のおかげです。先輩とはぶつかったこともあるけれど、それはお互い本気で仕事に取り組んでいることの証。いい環境だなと思います」
「これからは工場内の虫の目撃件数すらゼロにしていきたい」と、さらに前例のない挑戦はつづく。

清水さん上司 藤澤 浩幸さんからのメッセージ

清水さんは、課内防虫委員の事務局として全員20代のメンバー6人を牽引、休日も防虫業者による現場点検作業に立会うなど、率先して対応しています。食品工場特有の内部発生虫対策では、清掃がやりにくい機械下・ステージ下・排水溝等を「週末大掃除作戦」と題し原因となる食品残渣の徹底的な除去、防虫業者からの指摘への対応では周りの人を巻き込み、予防対策にも果敢に挑戦し、その労を惜しまない姿に感心させられます。お客様に笑顔が提供できるお菓子を作るためにも、清水さんの取り組みやその姿勢は、食品メーカーにとって大変重要です。