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「クレイジー」を実践するヒント発見!「ユーグレナ」社長の出雲充さんとの本気対談

世界を救えるなら、クレイジーでいいじゃないか。

「ユーグレナ」とは、ズバリ、ミドリムシの学名です。

ユーグレナ社長の出雲充さんは「人と地球を健康にする」という経営理念を掲げ、ミドリムシを活用して「栄養失調の子どもたちをなくす」、「バイオジェット燃料の飛行機を飛ばす」という実現現不可能とも思える壮大なミッションに、本気で取り組んでいます。

この「クレイジー」な社長に、岩倉社長が会いに行きました。
クラシエの「CRAZY KRACIE」というビジョンを見たときに、「うれしかった」という出雲社長。

ふたりの対談から「クレイジー」を実践するヒントが浮かび上がってきます。

スーパーフード、「ミドリムシ」。

出雲
今日は、ユーグレナオフィスにようこそおいでくださいました。
まずは「おいしいミドリムシ乳酸菌」をウェルカムドリンクとしてご用意しました。
ここには、1億5000万個のミドリムシが入っています。

岩倉
そんなに入っているんですか! ではいただきますね。
うん、おいしいです。

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出雲
お、けっこう飲んでいただけましたね。
今、4000万個のミドリムシを摂取いただけたかと(笑)。

岩倉
すごい(笑)。
ミドリムシというのは、どういったものなのでしょうか。

出雲
ミドリムシというとみなさんイモムシなど虫を想像されるんですけど。

岩倉
そうですね、アオムシとか?

出雲
じつは海藻の仲間です。
ワカメとかコンブとかの仲間で、一番おもしろいのは、自分で動くんですね。光合成する植物と、運動する動物の両方のいいとこどりをしている、スーパー微生物なんです。
たくさんの栄養素が詰まっていて、おいしくてすごく体にもいい。

岩倉
まさにスーパーフードですね。

出雲
ただ、知らない人には、「ムシ? 気持ち悪い」と拒絶されてばかりでした。

岩倉
出雲社長が創業当初から、一番苦労されたのはそこですよね。
最初は営業に行ってもなかなか取引してもらえなかった、と。

出雲
2006年の1月から24カ月間、500社を訪問しました。
毎日営業に出向き、「ミドリムシです。59種類栄養素が入ってます。おいしくて体にいいです。石垣島でスクスク育ちました。いい子です」と一生懸命に提案しても、500社に断られ続けて……これが苦しくて、厳しくて大変でした。

「ミドリムシなんか、隣に置いてある商品まで売れなくなるから、絶対に提案に来るな」とまで言われてしまって……。
今でこそ売れていますが、もっともっと、ミドリムシのことを伝えていかなければいけません。

クレイジー仲間がいて、うれしい。

岩倉
私たちの場合、クラシエになって、この10年間は逆境に打ち勝つというモチベーションでがんばってきましたが、ここからは今までと違うフェーズに入らなくてはいけません。

そこで、「CRAZY KRACIE」という新しいビジョンを制定しました。

出雲
「CRAZY KRACIE」って、すごいですよね。
このビジョンを先に聞いていたので、今日はどんなクレイジーな社長がいらっしゃるのかドキドキしていました(笑)。

岩倉
クレイジーというと、ネガティブに受けとる人もいますが、「熱狂」「どうかしている」といった意味もある。熱狂して、まわりから「おかしいんじゃないか」と言われてもなおやめなかった人が、世界を変えているんだと思うんです。

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出雲
このビジョンを見て、すごくうれしくなりました。
というのも、私はミドリムシで会社をつくると言ったときから、ずっとクレイジーだと言われ続けてきたんです。

それを、クラシエのトップが「世界を変えるために夢中でがんばるんだから、クレイジーでいいじゃないか」と言ってくださっている。
そんなこと、他の会社で言ってくれる人はいないですよ。

もう、全ミドリムシが喜んでいます。それにしても、今困っていなさそうなクラシエがなぜクレイジーなのか、不思議なんです。

岩倉
クラシエの人間は、真面目に仕事をする、という評価がある一方で、社外の人たちから「挑戦心がない」「面白くない」という声をいただくこともあります。

会社が発展するためにはベンチャーも何百年の会社も関係なく、新しいことをやっていかなければ生き残れません。
だからこそ「クレイジー」という言葉を積極的に用いたんですね。

言葉にすることで文化は醸成される。

岩倉
最初はやっぱり、クレイジーという言葉を使うのはこわかったんですよ。
でも、クラシエ10周年の式典で発表した時、長年支援してくださっている原料メーカーさんや包材メーカーさんが、どよめいたんです。
「これを待っていた」と。

そのとき、「CRAZY KRACIE」の可能性の大きさをひしひしと感じました。

出雲
思い切った変化を、みなさんも待っていたんですね。
私は、「ミドリムシで栄養失調の子どもたちをなくす」、「ミドリムシから新エネルギーを作ってバイオジェット燃料の飛行機を飛ばす」というこの2つの夢をずっと言い続けています。

これが、ユーグレナの変わらないところです。

私は、この話を何回してもワクワクできる。だから、ずっと同じ言葉を発信し続けています。

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岩倉
出雲社長は社員の方を「仲間」と呼ばれていますが、その意図をお聞かせください。
クラシエでも「クラシエの仲間たちへ」というメッセージを発信していました。

出雲
私たちは、新入社員ではなくて「新入仲間」、中途社員ではなくて「中途仲間」と言っています。全員が仲間、仲間、仲間なんです。

ベンチャーに一番足りないのは、文化と伝統、歴史です。私はそういう言葉にこめた文化を醸成して、仲間たちに幸せになってほしい。

僕が率先して言っていると、社員も、採用されて新しく入ってくる仲間も、最初は恥ずかしそうにしていますが、自己紹介のときに「新入仲間の◯◯です」と言うようになります。

岩倉
クラシエの入社式でも毎年「入社してくれてありがとう」と伝えるのですが、その言葉は新入社員の心に響いているようです。
ユーグレナで社員を「仲間」と呼ぶことに通じるのかもしれません。

出雲
思考のプロセスはほとんど一緒だと思います。入社式もそうですし、入社の会社説明会に来てくれた学生さんに「ありがとう」と言います。なぜなら日本にある380万社のどこに行ってもいいのに、わざわざ来てくれる。
こんなにありがたいことはないです。

岩倉
出雲社長の夢に共感された仲間が集まるのでしょうね。

出雲
はい。クレイジーな仲間が飛び込んできてくれるから、クレイジーな人ばかりの会社になるんです(笑)。
私が多少変なことを言っても、みんな、ついてきてくれます。

でも、会社が大きくなればなるほど、クレイジーでいるのは難しくなると感じています。私が未来に経験するであろう大変さや苦労に、先に直面されている「クレイジー先輩」に、アドバイスをお願いしたいです。

岩倉
やはり続けることだと思います。徹底的に、まだやるのか、というくらい続けること。

クラシエは、「しるし」という企業理念があります。

毎年1月15日を「しるしの日」として、社員みんなで議論するんです。それを、「しるし」制定以来、13年間ずっと続けています。
それでも、まだまだです。

ユーグレナには、『ユーグリズム』という行動指針があるんですよね?

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なぜ、多様性がいちばん大事か。

出雲
はい。1番目が「多様性を楽しむ」、2番目が「ミドリムシ愛」……と、10項目から成り立っています。

岩倉
今日も出雲社長のミドリムシへの想いの強さを感じて、私は「ミドリムシ愛」が1番なのかと思っていたんです。
そうではないんですね。

出雲
ミドリムシ愛はたしかに大事です。

でもいちばん大事なのは、その先にある「人と地球を健康にすること」。ミドリムシ愛で、短期的にはうまくいっても、盲目的になって大事な科学的真理にたどり着けないことがあってはいけない。
そうなっては困ると思い、あえて1番目にはしませんでした。

岩倉
なるほど、そんなお考えがあったんですね。

出雲
イノベーションを起こせと言って起こせるわけではないじゃないですか。

1番目にある「多様性」は、生き物にとってはいちばん大事なことなんです。生き物は相手によって変化するので、環境が多様で変化に富むものだと、出てくる発想やアイデアも結果として多様でイノベーティブになる。

まず、自分の置かれている環境を変化させ、ぐちゃぐちゃにしなさい、と。そうすると結果的に新しい発想が生まれてくるんです。
それを伝えたくて、ユーグリズムの一丁目一番地は「多様性を楽しむ」にしました。

岩倉
私たちが「Kracie MiX」という言葉を使っているのに近いですね。

出雲
そうです、そうです。まったく一緒です。

岩倉
自分たちだけで完結しないで、どんどんミックスして、刺激を受けて、化学反応を起こすことで新しいものを見つけましょう、と。
じゃないと、自分たちが成長できないと思ったんですね。
最初は混ぜましょう、だからミックスなんです。

出雲
実は、生き物が本当に好きなのは「安定」なんです。
一番おそろしいのが「変化」。
変わることを生物は本質的におそれる。

でも、岩倉社長は変化をまったくこわがっておらず、「変わらないとだめだ」と言い続けているんですね。

応援してくれる人たちが、大勢いる。

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岩倉
私たちの会社は、社会に生かされた会社だと思っています。
生かしてもらった以上、きちんと報いたい。
会社として成長していかなければいけません。
そのためには、変化が必要だと思っているんです。

出雲
ミドリムシも、研究すればするほど発見があるんですね。
「こんなのくだらない」と思われることでも、自分の手で経験してみなければ生きた経験にならない。
いつも私が挑戦すると、ミドリムシが応えてくれて。

だから、くだらないものなんてないんです、この世に。

岩倉
まったく同感です。
今年のクラシエの事業方針「小さなことにこだわり大胆にいこう」も同じ考えです。

クレイジーになるために、いきなり大きなことはできないんですね。
でも、一人一人がやっている小さなこと、くだらないと思っていることが、実はすごいことにつながるんだよという思いをこめました。

出雲
私も、まだ何もできていないんです。

岩倉
そうなんですか?

出雲
はい。ミドリムシのバイオジェット燃料で飛行機を飛ばすこと、栄養失調の子どもたちをゼロにすること。

その2つの夢に向かってがんばるユーグレナを、会社の仲間はもちろん、大勢のお客様が商品を購入することで自分の夢でもあるかのように応援してくれている。

その人たちとの約束を、1日も早く実現するためにも、研究と事業にコツコツ夢中になって取り組むしかないと思っています。

岩倉
私も応援しています。
出雲社長の言葉は、クラシエの「人を想いつづける」という基本理念にもすごく共通するので、みんなに伝えます。
ほんとうにありがとうございます。

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