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唯一無二の場所『そらぷちキッズキャンプ』ってどんなところ?

くらしえほん(*1)がきっかけで、そらぷちキッズキャンプさんに取材させていただくことができました。

※1:くらしえほん
毎日の暮らしの中で感じた、人とのつながりや想い出にまつわるエピソードをお寄せいただき、選考を重ねた中から毎年3作品を、制作のプロが本物の絵本にしてお贈りするキャンペーンです。https://www.kracie.jp/

すごく素敵な活動だと感動し、『そらぷちキッズキャンプ』をぜひ紹介したいと取材をお願いしました。
創設者の細谷医師、もともとキャンプ参加者で今はボランティアで参加している美咲さん、佐々木キャンプ長や広報担当唐澤さんなど関係者のみなさまにさまざまなお話を伺い、そんなに単純なことじゃなかったと、もっと理解してしっかりとお伝えしたいと思い、3回に分けてお届けします。

第1回「唯一無二の場所 そらぷちキッズキャンプってどんなところ?」
第2回「そこには確かに夢中がある。
そらぷちキッズキャンプではどんなことしているの?」
第3回「細谷代表の想い、これからの『そらぷちキッズキャンプ』」


今回は、第1回のテーマである『そらぷちキッズキャンプ』とはどんなところなのかをご紹介していきます!

そらぷちキッズキャンプとは

北海道滝川市にある公益財団法人そらぷちキッズキャンプは、難病とたたかう子どもたちや家族を受け入れることができる医療支援体制の整った自然体験施設です。このような施設は国内にはなく、すべて寄付やボランティアの力で運営されています。
自然の中で、安心して、安全に楽しく過ごせるように、医師・看護師・ボランティアによる医療的バックアップを提供しています。
http://www.solaputi.jp/

現在、日本では小児がんをはじめとする難病にむきあっている子どもたちが20万人以上いるといわれています。“外で遊びたい”-そんな子どもにとって当たり前にもみえることが夢だという子どもたちと、闘病中の子どもたちをサポートする家族にとって、この『そらぷちキッズキャンプ』は日本で唯一無二の特別な場所ではないでしょうか。

一口にキャンプといっても、“子どもたちだけで参加するキッズキャンプ”や“家族単位でのファミリーキャンプ”などそれぞれの目的をもつキャンプが複数種類あり、プログラムも充実しています。このことは、次回の第二弾の記事で詳しくご紹介できればとおもいます。

そらぷちキッズキャンプができた経緯と想い

創設者のひとりである、故・横山清七医師(元 東海大学医学部小児外科教授)が1999年米国難病児キャンプ場“The Hole in the Wall Gang Camp※2”のサマーキャンプに患児とともに参加、“子どもたちが生きる実感をかみしめている”様子に驚き、日本でも実施したいと決意されました。

※2:“The Hole in the Wall Gang Camp”
ハリウッド俳優のポール・ニューマンが設立した、アメリカ・コネチカット州にある難病児キャンプ場。
難病の子どもと家族のための医療ケア付キャンプの国際団体「シリアスファン・チルドレンズネットワーク」の16あるキャンプ場の中で1番最初にできた世界中のモデルとなっているキャンプ場。

そこで、横山医師は、小児がんの子どものためのサマーキャンプに、ボランティアとして参加するようになったそうです。そのサマーキャンプは、そらぷちキッズキャンプ』の現代表である細谷亮太医師が、もともと仲間の医師たちと開催していたものでした。

しかしながら、当時は既存の公共宿泊施設等を利用しながら継続していたため、常設の施設としては存在していませんでした。

同じくして、「病気の子どもの幸せをサポートする公園を作りたい」と考えた公園づくりの専門家たちが、米国難病児キャンプ場“The Hole in the Wall Gang Camp”をモデルとし、北海道滝川市などと協力しながら、キャンプ場の整備に動き始めていました。

これら2つの関係者の想いが1つになり生まれたのが、病気の子どもたちのための日本初の常設キャンプ場『そらぷちキッズキャンプ』なのです。

なお、米国難病児キャンプ場“The Hole in the Wall Gang Camp”をモデルにしたキャンプ場創設の動きは、欧米エリアが先行し広がりを見せ、それらのキャンプ場を統括する「シリアスファン・チルドレンズネットワーク」という団体ができました。『そらぷちキッズキャンプ』は、2016年11月よりアジア唯一の正会員として加盟をしています。

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『そらぷちキッズキャンプ』は、自然体験を通じて、病気と闘う子どもたちとその家族の心のケア、また、QOL(生活の質)の向上に寄与し、“たのしい思い出”、“すばらしい仲間”、”生きる力“、”希望“を得ることを目指しています。

子どもたちが、当たり前に外で楽しみ活動することに対して、病気を抱えている子どもたちは活動に制限があることも多く、身体的にも精神的にも心から楽しむことが難しい環境に身を置いている場合も多くあります。

そのような子どもたちに対し、“本気で楽しもう!”(Serious Fun!)という精神で、自然の中で同じ風を感じ、その一瞬一瞬や、楽しい気持ち・辛い想いを、みんなで共有することが何よりも、明日のエネルギーになるのだと感じました。

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たくさんの賛同者がうまれています

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「くらしえほん※2」を置いていただいています


そこで働く方々の声

『そらぷちキッズキャンプ』では、医師・看護師など医療ケアスタッフ、各プログラムを担うボランティアの方や、運営を担うスタッフなどたくさんの方が関わり、活動を支えています。

佐々木キャンプ長と広報スタッフとして働く唐澤さんに、どのようなきっかけで『そらぷちキッズキャンプ』にかかわることになったのか、また、どのような想いをもって活動されているのか詳しくお話を伺いました。

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(左から)スタッフの佐々木キャンプ長、佐藤さん、唐澤さん

佐々木キャンプ長と広報担当である唐澤さんは、もともと公園づくりの専門家として、同じ業界、法人で働いていました。

その業界の先輩たちとともに、そらぷちのモデルとなった米国難病児キャンプ場に視察に訪れ、日本にも同様の施設を創りたいと想い、そらぷちの立ち上げにボランティアで参画したのがきっかけで、『そらぷちキッズキャンプ』に関わるようになったそうです。

「小児科医や看護師の献身的な子どもと家族への想いに触れ、テストキャンプでは実際にかっこよく一生懸命輝いて生きている難病とたたかう子どもたちやその家族と同じ時間を過ごさせてもらう中で、そらぷちの取り組みを「ライフワーク」にしたいと強く感じたのを思い出します」と語るお2人。

私たちもより一層『そらぷちキッズキャンプ』のことを、もっとたくさんの人に届けたいという気持ちが溢れてきました。

「約20年前、『そらぷちキッズキャンプ』に関わり始めた頃から、建物(ハード)だけ整備しても仕方がない、運営体制、ホスピタリティ(ソフト)が大事だと考え活動を続けており、公益財団法人の有償職員となった今もその想いは変わりません。

『そらぷちキッズキャンプ』は、難病とたたかう子どもたちとその家族が、かけがえのない時間を過ごす場所となっています。米国のキャンプ場に入った当時に感じた、“やさしさのオーラ(ホスピタリティ)”が溢れる空間になるよう、多くの仲間とともに、活動を続けていきたいと考えています。」
と佐々木キャンプ長。

佐々木キャンプ長2

<キャンプ開村式で挨拶している佐々木キャンプ長>

「そらぷち」活動を長年やってきて、過去にキャンプ参加した子どもや家族が、ボランティアとして関わってくれるようになってきたので、この先の夢は、彼らが有償職員(後継者)になってもらえるようにしたいと思っています。また、掃除やシーツ布団クリーニングなど維持管理上、外部専門団体に業務発注する部分は、地元の福祉対象者の就労につながるような仕組みにしたいとも考えています。このキャンプ場が多くの人にとって「心のふるさと」「あたたかい居場所」になれるよう取り組んでいきます。そんな夢が叶った頃には、わたしがキャンプ場園路の雑草を抜くボランティアをできていたら「最高」だと期待しています。

カラサワ

<キャンパーたちを出迎える唐澤さん>

『ユニバーサルデザインの公園をつくってもそこに来ることすらできない子ども達がいる。だからそんな子ども達が自由に安心して遊ぶことができる場所を作ること。』今その夢の第1段階は、多くのご支援のおかげもあり実現しました。これからは、もっとたくさんの方に活動の趣旨を知っていただき賛同してもらうこと。
初めてお会いする人でも、「そらぷちね。知ってるよ。」と言っていただけるくらいに認知度をあげて、支援の輪を広げていきたいです。病気とたたかっている子ども達やそのご家族にとって、みんなに支援されているという事が辛い闘病生活の支えに少しでもなってくれることを心から願っています。個人的には、キャンプ場の隙間に小さな花壇をたくさん作って、癒しの場とすることが私の密かな老後の楽しみです。

“全国に『そらぷちキッズキャンプ』を参考にした、病気や障がいをもつ子どもとその家族が「休息」「リフレッシュ」をするための施設ができれば、こんなに嬉しいことは無い。”
それが、佐々木キャンプ長、唐澤さん、そして多くの仲間たちの共通の想いです。そのためにもさまざまな情報発信をしていきたいと考えていることを語ってくれました。

とても素敵な想いと強い決意をもって、“子どもたちの夢中を支える”活動に取り組まれていることが伝わってくる、温かい時間でした。この度は取材をさせていただきありがとうございました!

次回はキャンプの具体的な中身もご紹介できればと思っています!


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